素材ライブラリー

3Dプリンター用フィラメントの種類と選び方

FDM方式の3Dプリントで使う素材を一つのライブラリーにまとめました。比較表は、メーカーのデータシートに基づき、温度、密度、強度、乾燥条件で並べ替えられます。

26素材
6ファミリー
331件のデータシートを分析
01

フィラメントのファミリー

4 素材

汎用

開放型のプリンターでも扱いやすい素材です。試作品、装飾品、熱のかからない機能部品に向いています。

6 素材

エンジニアリング

高い温度に耐え、粘り強い反面、プリンターにも高い性能を求めるエンジニアリングプラスチックです。

1 素材

フレキシブル

曲げても元の形に戻るエラストマーです。硬さはショア硬度で表します。

2 素材

サポート材

溶かすか剥がすことで、通常は造形できないオーバーハングを実現するための材料です。

5 素材

複合材

プラスチックの母材に繊維、木粉、金属粉を混ぜた素材です。仕上がりが変わる一方、ノズルを摩耗させます。

8 素材

特殊

導電、難燃、蓄光、表面の平滑化、200 °C超の耐熱など、特定の機能を持つフィラメントです。

02

フィラメントの種類 比較表

各素材のデータシートの中央値です。列見出しを押すと並べ替え、ファミリーで絞り込めます。

PLA PLA 192–230 40–60 1.23 61 50 50 不要 43
PETG PETG 230–260 65–80 1.27 80 48 65 不要 27
PCTG PCTG 250–270 90–110 1.23 81 44 75 推奨 6
CPE コポリエステル 250–275 75–85 1.2 90 50 60 — 5
ABS ABS 235–260 90–100 1.04 105 39 80 推奨 15
ASA ASA 240–270 90–102 1.07 102 44 80 推奨 15
PC ポリカーボネート 260–280 90–110 1.19 126 60 75 推奨 18
PA ナイロン 250–270 85–100 1.11 66 50 90 推奨 13
PP ポリプロピレン 222–248 90–105 0.93 -31 19 50 推奨 5
HDPE HDPE 240–290 80–100 1.1 — 29 — 推奨 1
TPU TPU 220–240 50–60 1.2 -27 30 65 不要 36
PVA PVA 195–222 30–65 1.19 68 45 80 不要 6
HIPS HIPS 230–248 85–102 1.04 100 25 — 推奨 5
CF カーボンファイバー 235–260 60–82 1.25 66 56 60 不要 37
GF ガラスファイバー 250–270 82–95 1.23 90 59 75 推奨 16
WD ウッドPLA 190–220 50–60 1.19 57 32 52 不要 10
Cu ブロンズPLA 195–220 50–55 2.3 60 25 — — 3
Al メタリックPLA 200–230 50–60 1.21 60 45 50 — 1
ESD 導電性・ESD 230–260 60–80 1.23 95 55 55 推奨 13
FR 難燃 V-0 235–260 80–100 1.22 126 40 78 推奨 15
SLK シルクPLA 210–230 50–60 1.22 59 50 50 — 5
MT マットPLA 190–230 40–60 1.31 60 37 50 不要 7
PVB PVB 205–225 70–75 1.1 70 50 50 不要 3
PEEK PEEK・PEI 365–400 125–135 1.3 162 90 130 必須 12
GLW 蓄光 195–235 42–52 1.25 59 36 52 — 4
HS 高速PLA 195–230 40–60 1.24 63 41 50 不要 10

数値はメーカーが公表している値の中央値です。リンク先のページでは、全体の範囲と、各数値の根拠となるデータシートの件数を確認できます。

04

すべての素材

01 汎用 PLA PLA ポリ乳酸
ノズル
192–230 °C
ベッド
40–60 °C
g/cm³
1.23
02 汎用 PETG PETG ポリエチレンテレフタレートグリコール
ノズル
230–260 °C
ベッド
65–80 °C
g/cm³
1.27
03 汎用 PCTG PCTG ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートグリコール
ノズル
250–270 °C
ベッド
90–110 °C
g/cm³
1.23
04 汎用 CPE コポリエステル 非晶性コポリエステル(CPE)
ノズル
250–275 °C
ベッド
75–85 °C
g/cm³
1.2
05 エンジニア ABS ABS アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン
ノズル
235–260 °C
ベッド
90–100 °C
g/cm³
1.04
06 エンジニア ASA ASA アクリロニトリル・スチレン・アクリレート
ノズル
240–270 °C
ベッド
90–102 °C
g/cm³
1.07
07 エンジニア PC ポリカーボネート ポリカーボネート(PC)
ノズル
260–280 °C
ベッド
90–110 °C
g/cm³
1.19
08 エンジニア PA ナイロン ポリアミド(PA6、PA12)
ノズル
250–270 °C
ベッド
85–100 °C
g/cm³
1.11
09 エンジニア PP ポリプロピレン ポリプロピレン(PP)
ノズル
222–248 °C
ベッド
90–105 °C
g/cm³
0.93
10 エンジニア HDPE HDPE 高密度ポリエチレン
ノズル
240–290 °C
ベッド
80–100 °C
g/cm³
1.1
11 柔軟 TPU TPU 熱可塑性ポリウレタン
ノズル
220–240 °C
ベッド
50–60 °C
g/cm³
1.2
12 サポート PVA PVA ポリビニルアルコール
ノズル
195–222 °C
ベッド
30–65 °C
g/cm³
1.19
13 サポート HIPS HIPS 耐衝撃性ポリスチレン
ノズル
230–248 °C
ベッド
85–102 °C
g/cm³
1.04
14 複合材 CF カーボンファイバー カーボンファイバー入り複合材(PLA-CF、PETG-CF)
ノズル
235–260 °C
ベッド
60–82 °C
g/cm³
1.25
15 複合材 GF ガラスファイバー ガラスファイバー入り複合材
ノズル
250–270 °C
ベッド
82–95 °C
g/cm³
1.23
16 複合材 WD ウッドPLA 木質繊維入りPLA
ノズル
190–220 °C
ベッド
50–60 °C
g/cm³
1.19
17 複合材 Cu ブロンズPLA ブロンズ粉末入りPLA
ノズル
195–220 °C
ベッド
50–55 °C
g/cm³
2.3
18 複合材 Al メタリックPLA メタリック調のPLA
ノズル
200–230 °C
ベッド
50–60 °C
g/cm³
1.21
19 特殊 ESD 導電性・ESD 導電性・静電気拡散性フィラメント(ESD)
ノズル
230–260 °C
ベッド
60–80 °C
g/cm³
1.23
20 特殊 FR 難燃 V-0 難燃性フィラメント(UL94 V-0)
ノズル
235–260 °C
ベッド
80–100 °C
g/cm³
1.22
21 特殊 SLK シルクPLA シルク調仕上げのPLA(silk)
ノズル
210–230 °C
ベッド
50–60 °C
g/cm³
1.22
22 特殊 MT マットPLA マット仕上げのPLA
ノズル
190–230 °C
ベッド
40–60 °C
g/cm³
1.31
23 特殊 PVB PVB ポリビニルブチラール
ノズル
205–225 °C
ベッド
70–75 °C
g/cm³
1.1
24 特殊 PEEK PEEK・PEI 高温ポリマー(PEEK、PEI)
ノズル
365–400 °C
ベッド
125–135 °C
g/cm³
1.3
25 特殊 GLW 蓄光 暗闇で光るフィラメント
ノズル
195–235 °C
ベッド
42–52 °C
g/cm³
1.25
26 特殊 HS 高速PLA 高速印刷向けPLA(PLA HS)
ノズル
195–230 °C
ベッド
40–60 °C
g/cm³
1.24
作業場のバーに掛けられたフィラメントのスプール
作業場のバーに掛けられたフィラメントのスプール写真: Magnific

3Dプリンター用フィラメントの選び方

数値を見る前に、次の3つの質問で選択肢の大半は絞り込めます。

  1. プリンターは開放型ですか、密閉型ですか。 開放型なら、現実的な候補は PLA、PETG、TPU です。ABS や ナイロン のように冷えるときに収縮する素材は、反りを防ぐために密閉チャンバーが必要です。
  2. その部品は何に耐える必要がありますか。 熱、日光、衝撃、摩擦、曲げ、湿気などです。要求によって合うファミリーが変わり、比較表のガラス転移温度(Tg)は、素材が軟化し始めるまでにどれだけの熱に耐えられるかを示す最初の目安になります。
  3. どんな仕上がりを求めますか。 マット、光沢、半透明、木のような質感、金属のような質感などです。特殊な仕上がりのものは、多くがPLAに充填材や添加剤を加えたものです。

フィラメントの種類を部品の用途別に選ぶ

部品の用途おすすめの素材理由
試作品、模型、装飾品PLA最も造形しやすく、精度が高く、仕上がりの種類も豊富です
日常使いの機能部品PETG密閉型のプリンターがなくても、PLAより粘り強く耐熱性も高い素材です
熱のかかる部品ABSより高い温度に耐え、研磨や平滑化処理もできます
歯車、ヒンジ、摩擦のかかる部品ナイロン粘り強く、摩耗に強く、摩擦係数が低い素材です
ケース、パッキン、曲げる部品TPU柔軟で弾力があり、元の形に戻ります
複雑なオーバーハングのサポートPVA または HIPS水(PVA)またはリモネン(HIPS)に溶け、造形物を取り出せます
木や金属のような仕上がりウッドPLA、ブロンズPLAPLAを母材に、繊維や金属粉を充填した素材です

フィラメントの直径は1.75 mmと2.85 mmのどちらか

直径は自分で選ぶものではなく、エクストルーダーの仕様で決まります。家庭用プリンターの大半は直径1.75 mmのフィラメントを使います。2.85 mm(3 mmとして売られることもあります)は、一部の業務用機種や旧型のモデルで使われます。2つの直径に互換性はありません。注意したいのは、メーカーが示す直径公差です。スプールの途中で直径が変動すると、積層ごとの材料の量にばらつきが出ます。

フィラメントの乾燥と湿気対策

ほとんどのフィラメントは空気中の湿気を吸い、その度合いは素材によって大きく違います。湿ったフィラメントは、ノズルから出るときにパチパチと音を立て、糸引きや気泡が出て、造形物が弱くなります。特に敏感なのはナイロン、PVA、TPUで、PETGも影響を受けます。ライブラリーの各ページには、メーカーが示す乾燥温度と乾燥時間を載せています。保管には、乾燥剤を入れた密閉袋か密閉ケースが理想的です。

フィラメントと食品への接触

メーカーが「原料は食品接触の規制に適合している」と表明していても、造形した部品が食品用になるわけではありません。積層の隙間に汚れや細菌がたまり、ノズルから金属が混ざることがあり、着色料も認証されているとは限りません。食品に触れる器具には、認証された素材とステンレス製ノズルを使い、表面を食品用のコーティングで封じてください。あるいは、乾いたものに触れる使い方や、使い捨てに限るのが無難です。

このライブラリーのデータの作り方

各ページは、スペイン、ヨーロッパの他の国、米国、中国にある複数のフィラメントメーカーの公式データシート(TDS)をまとめたものです。各データシートから、メーカーが示す数値と、記載がある場合は試験方法を記録します。全データシートから中央値と全体の範囲を計算します。中央値は出発点として使え、範囲を見ればメーカーによって素材がどれだけ違うかが分かります。

メーカーが公表する機械的特性は、必ずしも互いに比較できるとは限りません。射出成形した試験片で測る会社もあれば、造形した試験片を向きを変えて測る会社もあります。そのため、各ページには各数値の根拠となるデータシートの件数を示しています。特定の製品については、必ずその製品自身のデータシートに従ってください。

フィラメントの種類についてよくある質問

最も造形しやすいフィラメントはどれですか。

PLAです。低い温度で造形でき、冷えても収縮がほとんどなく、密閉型のプリンターも、多くの場合は加熱ベッドも必要ありません。

最も強いフィラメントはどれですか。

何に対する強さかで変わります。衝撃と疲労にはナイロンとポリカーボネートです。熱にはABS、ASA、ポリカーボネートです。密閉型のプリンターがなくても使える日常用途の部品なら、PETGが最もバランスのよい選択です。比較表をTgまたは引張強さで並べ替えると、数値で確認できます。

日光や屋外に耐えるフィラメントはどれですか。

紫外線に強いASAが最も適しています。PETGも屋外でよく持ちこたえます。PLAは少しの熱で軟化するため、向いていません。